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ヘッダー

ドワイト・グッデン

2022年5月26日

1980年代中盤、MLBに史上最高の投手になる可能性を秘めた新星が現れました。ニューヨーク・メッツのドワイト・グッデンです。元祖「ドクターK」ですね。とはいえ日本と違ってこの称号は、アメリカでは未だに彼の専売特許なのです。

84年春、テレビ朝日で『CNNデイウォッチ』がスタートしました。創立間もない世界初のニュース専門24時間チャンネルCNNのダイジェスト版で深夜の放送でしたが、より多くの情報を求めていた私にとっては渡りに船の番組で早速見始めたわけです。期待にたがわず毎日アメリカンスポーツのニュースや試合のダイジェストが放送されテレビの前に釘付けでした。そんなある日グッデンの映像を唐突に目にすることになったのですが、実は彼の名をすでに知っていました。『週刊ベースボール』増刊号MLB開幕直前レビューで、前年A級リンチバーグにて191イニングで300三振奪った弱冠19歳の大物新人がいることを… 映し出されたのはたった1球でしたが、速っ!と思いましたねえ。ノーラン・ライアンより速いとは言いませんが、ほとんどそのレベルに近い。たった1球に魅せられたのです。

19歳の進化は凄まじく、オールスターゲームでの3者三振でブレークすると後半戦は尻上がりに快投の連続。3試合で47奪三振のメジャー記録を作るなどして最多奪三振のタイトルを獲得、新人王にも選ばれます。276奪三振は新人記録で今も破られていません。シーズンの奪三振率はなんと11.3945!ライアンやサンディー・コーファックスでさえ11を超えることはなかったのですから驚異的な数字でした。その要因としてカーブも一級品だったことがあげられます。速いといっても突出していたわけではないのに、高めの釣り球になど引っかからないと思っていたメジャーの猛者たちが、顔くらい高いクソボールに手を出してかすりもしない。球質が今で言う回転数の多いホップするように見える快速球だったことと相まっての相乗効果だったのでしょう。加えてライアンと決定的に違ったのはコントロールもよかったことです。またピッチングフォームも素晴らしかったです。見るからに体の柔らかさを感じさせるもので、ライアンばりに顔が完全に隠れるほど膝を高く上げてから思い切り左脚を大きく踏み出し腕を鞭のようにしならせる。ダイナミック且つ美しかった!これほどフォームが美しいと感じたのは後にも先にも彼だけです。

翌シーズンも快進撃は止まらず24勝4敗、防御率1.53という驚異的な成績でサイヤング賞に輝きますが、私が一抹の不安を覚えたのは奪三振率の低下でした。前年並みならば軽く300を超えるはずで当然そうなると思ってましたので… 結局この年をピークに彼の成績は年々下降していくことになります。コカインの常用も発覚し、「堕ちた偶像」に成り下がってしまったのです。

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その後ヤンキースに移籍してからノーヒットノーランを達成したニュースが報じられましたが、そのピッチングフォームは別人のようでした。鞭のようにしなる腕の振りも、ゴムでできているかのような柔軟さを生かした大きなステップも失われて球速も並、まだ31歳とは思えない劣化ぶり。寂しかったですねえ本当に… 有り余る才能を持ちながらドラッグで自らその芽を摘んでしまったのですから。スターダムに上るのが若すぎたゆえの失敗でしょうね。それにしても勿体無い…

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Posted by hiro