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フェンスの向こうのアメリカ

2022年5月28日

「ひょうたん池」から遠望できた山手の丘にも思い出があります。祖父は左官職人でしたが運転免許を持っておらず、母が送迎していました。私がまだ幼稚園児の頃だと思いますが既に車が大好きで、よく一緒に乗っけてもらいました。現場でモルタルをこねる手伝いなどしていましたが、そこは子供のことなので仕上がったばかりの塗り壁にどうしても興味を惹かれ、指でつついてしまうのです。祖父は典型的な昔気質の職人で、小柄でしたがいつもとっても怖い顔をしていて本当にちゃぶ台ひっくり返す人でした。大切なおもちゃを踏み壊されたこともあります。そんな祖父だと知っていながら何度もおいたをしてその度にひどく叱られました。現場に出入り禁止になるのと、祖父の引退どちらが早かったのかは知りません(笑)

そんな中でいちばん好きだったのが山手の現場だったのです。中村橋を渡って「稲荷坂」と呼ばれる30度もあろうかと見える急勾配を、左官道具を満載したトヨタの赤いライトバンでえっちらおっちら登りきると、正面に米軍根岸基地(実際には殆ど住宅だったようですが当時は軍事施設と言われていたので、勝手に入ると銃殺されると本気で思ってました)があり、敷地に沿って左、右とカーブを抜けるとそこはもう別世界。見渡す限りの芝生に洋風の白い家がぽつりぽつりと点在し、まさに『大草原の小さな家』を彷彿させるような平和で牧歌的な風景に見えたのです。そしてそこからアメリカの広さ、豊かさを感じ取ったのでしょうね。間違いなくアメリカへの憧れが芽生えるきっかけでした

柳ジョージ&レイニーウッドの『FENCEの向こうのアメリカ』を耳にすると、今でもその記憶が鮮やかに甦ってきます。本牧と山手の違いこそあれ、きっと柳さんも似たような経験からアメリカに憧れ、ひいてはブルースの魅力にハマっていったんだろうと想像してます。もっともトランプ大統領時代のアメリカは私は嫌いでしたが…

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現代

Posted by hiro