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チーヴァーとワーウィック

フジテレビがF1全戦放送を始めた1987年、エディー・チーヴァーはアロウズのドライバーでした。搭載するメガトロンターボエンジンは、BMWから権利を買い取ってハイニ・マーダーがチューンしたもので、そこそこの戦闘力はあったものの常にポップオフバルブのトラブルに悩まされることになります。

グリッド中団からのスタートがほとんどでしたが、しばしば好走を見せました。特に市街地コースでの速さは相変わらずで、モナコでは予選6番手。上位陣がタイヤ交換のためピットインする間に浮上して3位をキープし続けます。フレッシュタイヤで背後に迫るアラン・プロストにも全く臆せず数周に渡って徹底的にチェック&ブロック、抜かせません。が、タイヤを使い果たして結局抜かれピットイン。遂にはエンジントラブルでリタイアとなりました。

デトロイトでも6番グリッドから好スタートで4位に上がり、3周目にはウィリアムズのネルソン・ピケをパスして3位に。しかしベネトンのテオ・ファビに無理なアタックを仕掛けられて右リアタイヤをカット、後退します。その後追い上げて6位入賞と、依然トップグループを走る力があることを証明しました。

鈴鹿では終盤中嶋悟さんから6位の座を奪うと、5位のティエリー・ブーツェン(ベネトン)に猛チャージ。ところが最終ラップのガス欠で9位の結末。実はある雑誌の直前号でレース関係者に「鈴鹿の見どころと注目ドライバー」を聞くという特集が組まれていたのですが、その中で片山右京さんが
「中嶋さんとエディー・チーヴァー。減速が面白い。何かやってくれそうだから」
とコメントしていたのです。彼の予言が見事に的中したことになりますね。

88年も同じパッケージで参戦、チームメイトも前年同様デレク・ワーウィックでした。ワーウィックとは実力が拮抗してまさに好敵手といえる関係で、毎レースのように激しいバトルを見せてくれました。このシーズンは安定性でワーウィックに及びませんでしたが、ようやくポップオフバルブの問題を解決したモンツァでのイタリアGPでは、絶好調なマシンと持ち前の敏感さが嚙み合って予選5位から終始快走、終盤ワーウィックの猛烈な追い上げを振り切って5年ぶりの3位表彰台に登ります。ターボエンジン禁止を控えて勢力図が激変する可能性がある翌シーズンでの飛躍を大きく期待したものです。

そんなわけで89年開幕戦ブラジルをテレビの前でウキウキしながら見ていました。スターティンググリッドの紹介で、まずワーウィックが8番手に現れたので直後にチーヴァーの名が続くかと思いきや、一向に出てきません。ジリジリしながら見ていると何と24番手! きっとメカニカルトラブルが原因で、たまたまだろうと考えていたのですが、次戦以降も大勢は変わらず… 前年まで互角だったワーウィックに特に予選で大きく後れを取るのが常になり、欲求不満のシーズンを過ごすことになります。

ロス・ブラウンが手掛けたニューマシンA11は、最先端のトレンドを取り入れた意欲作だったのですが、F1ドライバーきっての大男であるチーヴァーにはコックピットが余りにも狭すぎ、乗り込むのにさえ四苦八苦したそうです。ドライブ時の肉体的苦痛も半端なく、パフォーマンスを悪化させた要因でした。得意のモナコでさえワーウィックに遠く及ばないタイムで、がっかりしたものです。

年々ハイテク化が進み、並行してシビアに空力を追求するマシンへと変貌していく今後のF1には、もはや彼のドライビングスタイルは合わないのではないかという疑念が起き始めたのは事実です。

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Posted by hiro