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不世出の歌姫 ホイットニー

2012年2月11日。もう11年になりますか… この日飛び込んできたニュースに私は打ちひしがれました。ホイットニー・ヒューストンの訃報です。ボビー・ブラウンとの結婚後、薬物の常用が噂されるとともに乱れた私生活が取り上げられるようになってからというもの、それらが彼女の歌手生命を縮めてしまうのではないかと危惧してはいましたが、まさか命まで落としてしまうとは… 二度と現れないかもしれないほどの天賦の才を備えていた彼女の死は、取り返しのつかない損失だったでしょう。

私が彼女の才能と魅力の虜になったきっかけは、おそらく1985年(だったと思う)のアメリカン・ミュージック・アワードでのパフォーマンスです。もちろん彼女の歌はすでに耳にしており、稀に見る超大物新人という前評判に違わぬ素晴らしさでしたが、やはり真の実力はライブパフォーマンスで明らかになるものです。この時事前に出演を知っていたわけではないので偶然にだったのですが、ダイアナ・ロスに紹介され、白いミニのタイトなワンピースに身を包んで登場した彼女はモデル出身だけにスレンダーでスタイル抜群、ルックスもキュートでした。

ところが「恋は手さぐり」のバッキング・トラックが、音響機器の不調からか音量が突然上がったり下がったり、はたまた完全に途切れたりを繰り返して歌い手としては劣悪な環境だったのです。しかし彼女の才能はそんなことをものともせず、ソウルフルなインプロビゼーションを織り交ぜながら見事に歌い上げました。圧巻のパフォーマンスで、これは正真正銘の本物だと実感しましたね。まるで自分がお宝を掘り当てたかのような喜びを覚えたものです。

ライブも初来日時を含めて3度見に行きました。つまり86,88,90年ということになります。最初の二回は横浜文化体育館。素晴らしかった! 圧倒されまくりでした。ただ最後の横浜アリーナでのパフォーマンスはちょっと変だなと感じました。本来ロングトーンのパートを伸ばさず切ってしまうのです。声色自体には異変を感じなかったので手抜きしているのかと疑うほどでしたが、最後までずっとそんな調子だったので喉の具合が悪かったのかなあと思うことにしました。やや欲求不満でしたがベースがネイザン・イースト、ドラムがジョン・ロビンソンという当時あちこちのアルバムにクレジットされていた名コンビだったので、違った側面で楽しめはしました。後日判明したところでは、やはり体調不良だったようです。風邪でも引いていたんですかね。

どんな世界であれ、富と名声を得てしまうと様々な誘惑が蔓延ります。若ければ、それらを断ち切るにもかなりの精神力が必要と容易に想像はできます。エンタメの世界ではスポーツ選手ほどストイックにならずとも、才能だけで生きていけるかもしれません。彼女ほどの天才なら尚更です。神から授けられたとしか思えないほどの才能が、決して自分の為だけにあるのではないという自覚が欠けていたのか或いは気付くのが遅すぎたのか。自らを律することができる人格を備える前に登り詰めてしまったことが不幸だったのかもしれません。それにしても薬物にさえ手を出していなければ、今でも彼女の歌声を聴くことができたはずですし、アレサ・フランクリンやダイアナ・ロス以上の存在になっていただろうと思うと残念でなりません。

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音楽

Posted by hiro