G-FTB5DFYZ60

ヘッダー

ジム・ハーボ―の去就は?

26年ぶりの王座を獲得したミシガン大が、アラバマ大に取って代わるような黄金時代を築けるかというと、なかなか難しいところです。まず、ヘッドコーチのジム・ハーボ―にはNFL復帰の噂が絶えないことがあります。すでに毎年の風物詩になっている感がありますが、母校を王座に導いた結果、彼の市場価値はさらに上がったはずです。招聘するためのコストは莫大なものになりますが、ほとんどのオーナーは彼がそれに見合うだけの指導力を持っていると考えているようです。特に低迷を続けるチームの救世主として待望する声は、ファンの間にも多いと思われます。

現時点ではロサンゼルス・チャージャーズ、ラスベガス・レイダース、ワシントン・コマンダーズが候補として有力視されていますが、仮にどこを率いたにせよチームに劇的な変化をもたらして瞬く間にトップを狙える位置に押し上げるでしょう。彼の実績は、誰もにそう信じさせるに足るものです。

個人的には来季のNFL復帰はないと考えていますが、かといってミシガン大に骨を埋めるとも思っていません。彼のチャレンジ精神は、果していないスーパーボウル制覇という夢を諦めることを良しとしないでしょう。遠くない将来必ずNFLに戻るはずです。それまでの数年間ミシガン大は王座争いに加わる存在でいることと思いますが、その後は全く不透明です。

NFLに復帰するとなれば、彼は自分のスタッフを引き連れていく可能性があります。腹心の誰かが残ることも有り得、その場合はハーボ―の遺産を引き継ぎコンサバを志して大きな変革はないと思われますが、外部から招聘するとなるとわかりません。かつてリッチ・ロドリゲスを招いて奈落の底に落ちたような失敗を繰り返さないとも限らないですからね。

またハーボ―が引き続き指揮を執るとしてもどうでしょう。彼は知将と言うよりは明らかに闘将です。勝利のために全精力を注ぎこんでハードワークを厭わない。先頭に立ってチームを鼓舞するチアリーダーでもあります。どんな世界にもこのタイプの指導者はいますが、NFLで言えばディック・ヴァーミールが近いでしょう。またハーボ―という人は直情径行な激情家の面があり、しばしば物議を醸す発言や行動も見受けられます。このあたりはMLBのビリー・マーティンやレオ・ドローチャーを彷彿とさせますが、彼らには共通点があります。それはカンフル剤のようにチームを劇的に押し上げるという意味では非常に優秀な「修理屋」ですが、常勝軍団に仕上げることができないのです。おそらく性格的な問題もあるでしょう。守ることよりも新たな挑戦に生きがいを感じるチャレンジ精神と、勝つために全てを捧げる熱意が強烈なエゴとなって周辺との軋轢を招き長期政権を築けないという面です。人には得手不得手がありますからね。残念ながら、私にはハーボ―がダイナスティーを築ける指導者には見えないのです。

個人的な願望としては、デトロイト・ライオンズを率いてほしいと思っています。ミシガン州にとっては地元ですしね。今季のライオンズは好調ですが、ダン・キャンベルがこのまま常に優勝を争えるほどのチームに育てることができるかは微妙です。長年の負け癖がついているライオンズには、一転して元の木阿弥に戻ってしまう危険性が少なからずあります。そうなった場合、ハーボ―はライオンズの最後の切り札となるでしょう。未だスーパーボウル進出すら果していないライオンズを王座に導けば、彼はカレッジとNFL両方を制した史上5人目のヘッドコーチにもなって伝説の仲間入りするのは間違いないです。

Overtime Jim Harbaugh and the Michigan Wolverines at the Crossroads of College Football【電子書籍】[ John U. Bacon ]価格:1363円
(2024/1/14 13:21時点)
感想(0件)