ロロのクレオパトラ
アレクサンドロス3世の死後、その後継者の座を巡って部将たちが繰り広げた「ディアドコイ戦争」
これも面白いです。離合集散しながら相争う様は、日本で言えば「応仁の乱」や「観応の擾乱」にあたる複雑怪奇さですが、もちろんスケールの大きさは比ではありません。
戦乱は最終的に帝国がアンティゴノス朝マケドニア、セレウコス朝シリア、プトレマイオス朝エジプトに分裂する形で落ち着きますが、数多のディアドコイの中で私が最も評価するのがプトレマイオス1世です。彼の戦略は典型的な「遠交近攻」で勢力バランスを実に正確に読み取って舵取りし生き残りました。ほとんどのディアドコイが非業の死を遂げる中、天寿を全うできたのは特筆すべきことです。また内政においても現地人たるエジプトの歴史と文化を尊重して融和を図り、巧みに取り込んで統治体制を確立しています。彼の王朝は300年近く続くことになります。
その末裔が有名なクレオパトラ7世です。家系はれっきとしたギリシア人ですが、融和政策によって支配階級の王家にも徐々にエジプト人の血が入っていったと思われます。美女だったかどうかは別にして、エキゾチックな風貌だったのは確かでしょうね。
クレオパトラというと、やはり1963年の映画『クレオパトラ』に主演したエリザベス・テイラーを連想します。彼女のクレオパトラは大変美しく気品もあって良いですが、どうしてもアングロサクソンの顔立ちですから実際とは異なると思うのです。私がぜひクレオパトラを演じる姿を見たかった女優がいます。ジーナ・ロロブリージダです。
彼女はイタリア人ですが、その彫の深い美貌は古代ギリシア人のイメージそのものですし、グラマラスな肢体も彫刻のモデルにしたいくらいです。またエキゾチックな雰囲気もエジプト人の血が若干入っているという設定にはピッタリです。彼女ほどクレオパトラに相応しい女優は古今東西存在しないと思っています。
彼女もすでに94歳! 出演作を見る度に年月の移ろいを感じ、見果てぬ夢への憧憬の思いが深まります。
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