第4回ジャパンボウル
私が初めてアメリカンフットボールを現地観戦したのが1979年の第4回ジャパンボウルです。目当ては私のアイドルだったミシガン大のQBリック・リーチで、彼見たさに国立競技場まで足を運んだわけです。
ところが彼は出場しませんでした。というより来日しなかったのです。ネットでリアルタイムの情報が入る現代とは違うので、私としては知る由もなかったのです。この年の目玉はリーチと、彼とともにビリー・シムズとハイズマン賞を争ったペン州大のQBチャック・フシナでしたが、他にとんでもないQBが来日していたのです。ノートルダム大のジョー・モンタナです。
モンタナは前年、チームを全米チャンピオンに導いてはいますが当初からスターターだったわけではなく、厳しい局面で登場しては逆転勝利をもたらした結果です。フシナとリーチはハイズマン得票2位と3位ですから、必然的に彼は東軍3番目QBの扱いでした。それでも出場選手中最も強肩でプロ向きとされていました。NFLでの印象からは強肩とは思えませんが、大学レベルでは強かったということでしょう。公式プログラムにも三人揃って登場してその旨記されていたことをはっきり記憶しています。後日のドラフトでフシナやリーチより高順位で指名されているのも事実ですが、QBとしては4人目なのです。ジャック・トンプソン(ワシントン州大)、フィル・シムズ(モアヘッド州立大)とスティーヴ・フラー(クレムソン大)は1巡指名ですから、彼らとモンタナとの評価には明確な差があったことになります。
この年からサンフランシスコ・フォーティーナイナーズを率いることになったビル・ウォルシュは、ドラフト全体一位指名権を持っていたはずですが、前年O・J・シンプソンを獲得したことでバッファロー・ビルズに譲渡していました。QBのトッププロスペクトはトンプソンでしたが、仮にウォルシュに全体一位指名権があったとしても彼を獲ったとは思えません。3巡まで残っていたモンタナを指名していたでしょうね。モンタナのフォーティーナイナーズ入りは運命的に決まっていたように思えます。
それにしても国立競技場で見たモンタナが、史上最高とされるほどのQBになるとは全く想像できません出した。シムズは後にスーパーボウルを制覇しますが、決して順風満帆だったわけではありません。この年のドラフト組で大成したQBは彼ら二人だけ。トンプソンに至ってはジャマーカス・ラッセルやライアン・リーフと比肩するほどの「はずれ」として歴史に名を残すことになります。やはり勝者として生まれついた人間は、運を含めて持っているものが違うということでしょうか。
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