80年代最多勝投手
5月16日はジャック・モリスの誕生日です。長らくデトロイト・タイガースのエースとして君臨した彼は、1980~89年の10年間に162勝を挙げた80年代最多勝投手として知られており、殿堂入りも果たしています。
彼のデビューはミシガン州が生んだカレッジフットボールのスーパースター、リック・リーチとカーク・ギブソンがともに地元タイガースに入団した時期と重なります。もともと応援していた上に二人の奇跡的にも思えるそろってのタイガース入団とスパーキー・アンダーソンの監督就任もあって、長期低迷から必ずや脱出してくれるものと大いなる希望を抱いていたところに、瞬く間に不動のエースに伸し上がったモリスの登場ですから当然注目していました。
彼の投球を初めて見たのは81年のオールスターゲームです。クリーブランドでの開催でしたから、アメリカンリーグの先発投手はインディアンズのレン・バーカーだろうと思っていたところ、マウンドに上がったのはモリスでした。まだスプリッターは投げておらず、速球も150kmは出ていないだろうなという感じで典型的なフライボールピッチャーの印象でしたね。それが初めて20勝をマークし最多奪三振のタイトルを取った83年には奪三振率が一気に5割増しになっているので、おそらくこの年にはスプリッターを完全にマスターしていたと考えられます。当時スプリッターの普及に一役買っていたロジャー・クレイグが投手コーチに就任したのは80年ですから、習得に時間を要したのかもしれません。その後チームの16年ぶりのワールドシリーズ制覇にも大きく貢献、このころは中3日での先発も多く、まさに大車輪の活躍でした。
私は彼の投球を横浜スタジアムで見ています。86年の日米野球でオールスターの一員として来日した際で、以前の記事でカル・リプケンの強烈なホームランを目の当たりにした経験を紹介したその試合です。球速表示は142km止まりだったですが、いかにも重そうな球でバットに当たってもなかなか前に飛んでいかないという印象でした。たぶんスプリッターは投げていなかったと思います。観戦した位置からはスライダーとの判別が難しかったので不確かですが。ただ阪急ブレーブスの松永浩美選手にはものの見事にスタンドまで運ばれ、マウンド上で苦笑いしているのがはっきり見えました。
彼の殿堂入りニュースには、ちょっと驚きました。無理だろうと思っていたのです。もちろん太く長く活躍したという点では文句なしです。14年連続開幕投手というのも凄いですし。極めて高いレベルで安定した成績を残しているものの、例えば85年のドワイト・グッデンや86年のロジャー・クレメンスのように誰もがその年ナンバーワンの投手だったと認める他を圧するほど突出したシーズンがないんですよね。サイヤング賞の投票も最高で3位ですし。それと防御率が良くない。キャリア通じて3点を切ったことがない。そういったことから殿堂入りには300勝が必要と考えていたので、254にとどまった時点で望み薄かなと。実際記者投票では遂に75%に届かず資格を喪失したのも想定の範囲内でした。それが僅か4年後にベテランズ委員会による選出ですからね。驚きましたがやはり嬉しかったです。
長い歴史を誇るタイガースで歴代最高のエースを選ぶなら、私は彼を推します。そう、ジャスティン・ヴァーランダーより上です。おそらくデトロイトのファンもそうなのではないでしょうか。タイガース最後のワールドシリーズ制覇をもたらした絶対的エースですからね。
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