律子さん最強
1970年3月22日、第1回全日本女子プロボウリング選手権が開催されました。初代チャンピオンに輝いたのが中山律子さんです。近年まで日本プロボウリング協会の会長まで務めたレジェンドですが、本当に凄い人だったんですよ。これは今の時代にプロフィールを紐解くだけではわからないもので、当時の空気感というものを肌で感じた世代でないと理解できないでしょうね。
私が物心ついた頃、日本は空前のボウリングブームに沸いていましたが、それを牽引していたのが中山さんをはじめとする女子プロの誕生だったのは疑いない事実です。というのも中山さんとともに「花のトリオ」と謳われた須田開代子さん、石井利枝さんや並木恵美子さんの名はパッと思い浮かびますが、当時の男子トッププロは一人も思い出せないですからね。テレビでも各局が競うようにボウリングを取り上げていましたが、女子のほうが注目度が遥かに高かった記憶があります。
そんな黄金時代を支えていた選手たちの中でも、中山さんの知名度は群を抜いていました。メディアへの露出も多く、雑誌・週刊誌はおろかTVCMにも起用され、特に記憶に残るのが花王(だったと思う)のシャンプーのCMですね。この出演が彼女とボウリングの認知度を格段に引き上げ、まさに時代の申し子とまで呼べる存在にしたと思います。
これには彼女の美貌が大きく影響したのは当然のことです。一言で表せば「クールビューティー」で、喜怒哀楽をあまり出さずに淡々とプレーしているのですが、その佇まいに凛とした力強さを感じるいっぽうで、脆さや儚さが同居してミスした時などに見える一瞬の憂いがくすぐるんですよね。「華がある」というのは、おそらくこういった派手とか目立つとかいう面だけでない部分を含んでおり、特に女性の場合それが顕著だと思うのです。また、生涯成績では33勝と上記の須田さん(43勝)や並木さん(36勝)に劣るものの、初代全日本のタイトルや女子プロ誕生記念大会での優勝、さらには女子プロ初のパーフェクトゲーム達成とおいしいところをものにしていることを考えると、やはり他の人にはないものを「持っていた」ということでしょう。
ボウリングブームはオイルショックの到来に歩調を合わせるかのように過ぎ去り、急速に斜陽化してしまいました。中山さんはJLBCの設立に尽力、Pリーグを立ち上げるなどブームの再来に向けた活動に熱心でしたが実を結んではいません。現状では非常に厳しいと言わざるを得ないでしょう。実力に加えて社会現象になるほどの話題性を持つボウラーは、中山さんを最後に現れていません。私が可能性を感じるのは、ボウリングをなんとかして五輪正式種目にすることです。私は個人的にスケートボードやブレイキンがスポーツと呼べるのか甚だ疑問です。そのような競技が五輪に採用されることに大きな違和感を覚えていますが、ボウリングのほうがよほどスポーツらしく競技人口も多いはずです。将来的にどころか、すぐに採用しても良いのではないかと。そうなれば、さらに競技人口が増えてメジャーな存在になり、その潮流に乗ってスター選手が出現するかもしれません。ひとつのきっかけが好循環を生んで格段に普及する例は少なくないですからね。ここは国際ボウリング連盟にも積極的に働きかけて是非とも実現してほしいものです。
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