最凶マフィア in アメリカ
1929年2月14日、シカゴで聖バレンタインデーの虐殺が起きました。ギャング同士の抗争事件で最も有名なものですね。シカゴを牛耳っていたアル・カポネ率いるサウスサイド・ギャングが対立していたジョージ・モランのノースサイド・ギャングを壊滅に追い込みましたが、それまで大衆人気の高かったカポネに対する世論が硬化して収監されるきっかけにもなりました。これは犯人たちが警察官に扮していたことや、冷酷非情な手口に加えて一般人が3人も犠牲になったことが大きいでしょう。しかし一般人が巻き込まれることはそう珍しいことでもなく、また殺害方法も銃殺以上に残忍で大きな苦痛を与えるものが使われてきました。情勢からカポネの関与が確実視され、慈善事業を通じて大衆の味方を演じていた化けの皮が剝がれた反動が大きかったということでしょう。
日本では最も知名度と悪名高いマフィアとされるカポネですが、その凶悪さでカポネの上を行くであろう人物は結構います。では最凶マフィアは誰かを考えるにあたって留意すべきことがあります。まず狭義のマフィアはシチリア島をルーツとする犯罪組織に限られます。しかし一般的にはイタリア本土はおろか、他国にルーツを持つ犯罪組織もマフィアと呼ばれますね。カポネの全盛期である20年代はイタリアから移ってきた旧世代がトップを占めていたので地縁による結び付きが非常に強く、ニューヨーク生まれだがナポリ系の彼はマフィアの構成員にはなれなかったのですが、アメリカ生まれの比重が増すとともに緩やかになり地縁は絶対的なものではなくなっていきます。またイタリアだけでなく、他国からの移民も独自のコミュニティーを形成して組織犯罪を行っていました。つまり離合集散を繰り返しながら、特にユダヤ系やアイルランド系との抗争にも明け暮れており、これはニューヨークやシカゴに限らず大都市には共通することです。しかしマフィアを犯罪シンジケートに昇華させたラッキー・ルチアーノが、コミッションの暗殺指令を実行させるために組織したマーダー・インクにはユダヤ系が多く含まれています。そこでここでは、マフィアをアメリカを舞台に活動したイタリア系組織及び関わりのあった他国系ギャングを含むものと定義します。
1 ダッチ・シュルツ 「ビール男爵」ユダヤ系 1902~35
2 アルバート・アナスタシア 「マッドハッター」カラブリア系 1902~57
マーダー・インク副頭領、マンガーノ・ファミリーボス
3 フランキー・イェール 「闇の王子」カラブリア系 1893~1928
4 カーマイン・ギャランテ 「リロ」「ヘロイン・ボス」シチリア島カステランマレーゼ系
1910~79 ボナンノ・ファミリーボス
5 ジョー・ギャロ 「クレイジー・ジョー」ナポリ系 1929~72
6 ジュゼッペ・モレロ 「クラッチハンド」シチリア島コルレオーネ系 1867~1930
モレロ・ファミリーボス
7 ダイオン・オバニオン アイルランド系 1892~1924 ノースサイド・ギャング創設者
8 エイブ・レルズ 「キッド・ツイスト」ユダヤ系 1906~41
マーダー・インク中核メンバー
9 オウニー・マドン 「ザ・キラー」アイルランド系 1891~1965
10 ハリー・ストラウス 「ピッツバーグ・フィル」ユダヤ系 1909~41
マーダー・インクメンバー
血気盛んで好戦的な武闘派の面々の中で、ベッドの上で最期を迎えることができたのはマドンだけですね。彼らが直接手を下した殺人件数は正確なところはわかりませんが、優に100人を超えていることでしょう。もっとも正式な構成員に昇格するには一人前、つまりボスの指令通りターゲットを躊躇なく消せることが必須です。これは裏の顔を覆い隠して実業家然とした振る舞いをしていた大ボスたちも若いころには例外なく通った道であり、敵対者を葬ることに容赦なかったことには変わりません。その凶悪さが暗黒街でもとりわけ有名だった彼らは、やはり血の気の多さが常軌を逸するほどだったために悲惨な末路を辿ったということでしょうね。
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