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最高のフェラーリドライバー

8月14日はエンツォ・フェラーリの命日です。高性能スポーツカーの代名詞と言えるフェラーリの創業者である彼の生涯は様々な伝説で彩られていますが、ごく短期間にレース界における立場を不動にして市販車でも揺るぎないステータスを確立したのは、やはり彼にしかできないことだったでしょう。レースと速い車を生み出すことに賭ける情熱が周囲を巻き込み、イタリア国民の心を掴んで離さぬ存在になったこと自体がそのカリスマを物語っています。確かに国有企業で名実ともにイタリアのナショナルチームだったアルファロメオがレースから撤退して大衆車量産メーカーへ舵を切ったことも大きいですが、引導を渡したのはフェラーリです。当時F1に参戦していたマセラティやランチアにもアルファロメオに取って代わる可能性はあったわけですが、結局短期間で撤退を余儀なくされています。エンツォのような強力なリーダーシップを持ったカリスマなくしては成し得ない歴史的必然だったと思えます。

また、その地位を保ち続けているのも凄いですよね。F1草創期から参戦を続けているのはフェラーリだけですし、メルセデスやルノーといった巨大メーカーでもワークス活動の期間は半分にも満ちません。莫大な資金を必要とする現代F1において、フィアットグループの一スポーツカーメーカーにすぎないフェラーリが参戦を継続している事実は、そのブランド力が破格で有力なスポンサーが引きも切らないことを示しています。マクラーレンはF1で名声を確立してから市販車に参入して高評価を得ているという点で似ていますが、全てがビジネスライクでフェラーリのような神秘性は感じません。

今回は赤い「跳ね馬」を駆ってティフォシを熱狂させたドライバーをランキングしてみます。基準は「最高」としました。最強や最速ではリザルトを重視せざるを得ませんが、最高ならば個人的主観を優先できますからね。


 1 ジル・ヴィルヌーヴ(カナダ) 1977~82年
 2 ミハエル・シューマッハー(ドイツ) 1996~2006年
 3 ニキ・ラウダ(オーストリア) 1974~77年
 4 アルベルト・アスカリ(イタリア) 1950~54年
 5 ゲルハルト・ベルガー(オーストリア) 1987~89,93~95年
 6 ジャッキー・イクス(ベルギー) 1968,70~73年
 7 ホセ・フロイラン・ゴンザレス(アルゼンチン) 1951,54,55,58,60年
 8 ジョン・サーティース(イギリス) 1963~66年
 9 トニー・ブルックス(イギリス) 1959年
10 クリス・エイモン(ニュージーランド) 1967~69年

ヴィルヌーブは不動です。優れたドライバーがキャリアの最後に得るシートというイメージが強いフェラーリに全く無名の存在から抜擢されたこと、エンツォがタツィオ・ヌヴォラーリの再来と寵愛したこと、5年に満たない短いキャリアで枚挙に暇がない伝説を残したこと、今でもティフォシに絶大な人気を誇ることなどを考えると別格でしょう。

私はシューマッハーというドライバーは好きではありませんが、その実力は認めざるを得ません。彼のフェラーリ入りが発表された時、チャンピオンを狙えるようになるまで2,3年かかると考えていました。マクラーレンやウィリアムズのようなプロフェッショナルな集団と違って、どこか古き良き時代の気質を残すフェラーリを改革するのは簡単ではないと。しかしマシンの優れた開発能力と、チーム全体を自身のサポートに傾注させる政治力の高さは瞬く間にチームのポテンシャルを底上げして移籍初年度に3勝を上げたのです。これには正直驚きましたし、底知れぬ恐ろしさも感じました。アイルトン・セナでさえ、こうまで急激に立て直せたかは疑問です。最高でなく最強を選ぶなら、彼の名を挙げるしかないかなあと思います。

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Posted by hiro