夢の中の夢
久しぶりに怖い思いをしました。
気がつくと私は、なぜか線路の上に横たわっており、体を起こしてあたりを見回すと電車がやってくる。慌てて避けるとそこも線路で次の電車が現れるという繰り返しで、しかもどちらの方向から来るかわからず全く気が抜けない。いったい何本の電車を避けたか数えきれないくらい延々と繰り返すうちに体力が限界に近づき、かわす寸前コケてしまった。「しまった! これまでだ」と目を瞑ったが、まだ生きていた。なんとか無事だったとホッとしたのも束の間、新たな電車がやってくる。そこからまた暫し右から左へと横っ飛びに避け続ける。遂に気力も限界に達して気がつくと眼前に電車が… 体の上を電車が通過していくのを感じながら「あれ? これは夢だ」とわかった。
目覚めた私の頭上には、なぜか青い空。どうやらとあるアパートのゴミ置き場に放置されているようだ。視線を下ろすとなんと全裸! しかも全身傷だらけだ。皮一枚分だけ切ったような傷が無数に走っているが、浅いためか出血はほとんどない。どういうことだ? 電車に轢かれてこんな傷で済むはずはなし、それにあれは夢だったはずだ。なのにこの状況は… わけがわからなくなった私は嗚咽し始めた。聞きつけて人が集まってくる。泣きながらの述懐を彼らがどのように受け止めたか知らないが、驚き戸惑っているようだ。そこへ突然中学時代の知り合いTが現れた。ヤツはニヤけながら私の喉元にナイフを突きつけてくる。私はその手首ごと有無を言わさずナイフをヤツの口中に捻じ込んだが、しぶとく向かってくるので両目に指を突っ込んで抉ってやった。
すると辺りが俄かに騒がしくなった。どうやら駅を不審な集団が占拠したとのこと。しかもコイツら致命傷を与えても死なないゾンビみたいな連中らしい。みんなで向かうことになったようだが、私も不死身の男としてリーダーに祭り上げられてしまった。駅に向かって走るとTも、くたばらずに追いかけてくる。私はゾンビが相手ならゾンビみたいなコイツも役に立つと考え放置した。
駅に着くと騒ぎにはなっていないというか、収まったと見るべきか静かだ。ただ同じような格好をした若者が目立つ。学生服のようにも見えるがちょっと違う。みんなオタクっぽい感じで危険な気配はしない。いったい敵がどこにいるのかわからず、我々はほとんどを駅の反対側に向かわせた。すると突然辺りは修羅場と化した。オタクっぽい連中が敵だったのだ。味方は次々と彼らを倒していくものの、なかなか無力化できない。死んだはずなのに向かってきたりする。無力化できても何がそれをもたらしたのかを把握できずに苦戦、多勢に無勢で味方は数を減らしていく。私も疲れてきた。男か女かわからない容姿をしたのがいて、コイツに手こずった。みぞおちを抉っても、喉をかき切っても死なないのだ。首を捻じ切って決着がついたが、私も満身創痍だ。やがて反対側に向かった味方が戻ってきたことがわかる。もうちょっとの辛抱だと気を取り直したところで、決定的な事実を突き付けられた。自分が致命傷を受けたことを… 目の前が真っ白になり意識が遠のいて行く。
今回登場したTは中学時代何かと絡んできた男で、不良になる気のなかった私は相手にしませんでしたが、それでも一触即発になったことがあり、当然良い印象はありません。普段思い出すことがないような、その他大勢の一人にすぎない人間が夢に現れるのは結構頻繫にあることです。それにしても、ここでの私はなかなか残虐性に富んでますね。私は人を傷つけることは嫌いで弱い者いじめをしたこともありませんが、反面赤の他人に感情移入することもないんですよね。若い頃から親しい人間を傷つけられたら、相手に手加減せず過剰に反応してしまうような気がしていました。もしも母親が強盗被害に遭ったとしたら、私は過剰防衛だとわかっていても迷わず相手を殺すでしょう。年を重ねて丸くなったとはいっても、このあたりは変わりません。
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