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Wolverines win!

ミシガン大勝ちましたね。34対13と私の予想よりも点差は開きましたが、いずれにせよ順当な結果ではあります。終始主導権を握り続けて一度もリードを許すことがなかった立役者は、やはり強力なラインでしょう。上げた4TDが全てランプレーというのも象徴的です。守備ラインも強烈なプレッシャーをワシントン大QBマイケル・ぺニックス・ジュニアに与え続け、そのパス力を存分に発揮させませんでした。

しかしワシントン大ディフェンスも健闘しました。先制パンチを浴びたものの中盤は上手くアジャストしてミシガン大の攻撃を封じ、接戦に持ち込みました。最終クォーターに破綻をきたして突き放されることになりましたが、その原因は寧ろオフェンスにあるでしょう。アンダードッグが勝つには相手のミスを誘発してそれに乗じることが必須です、自らがターンオーバーを喫し、大事な場面で再三ペナルティーを取られるようではモメンタムを引き寄せることはできません。追いつくチャンスをものにできなかったことが招いた必然と思います。

それにしても26年ぶりの王座、長かった… しかも前回は全勝ながら結果的にネブラスカ大と王座を分け合う形になってしまいスッキリしませんでしたが、今回は全勝対決を制しての何びとたりと異論をはさむことができない戴冠ですし、その間は地団駄を踏むシーズンの連続だったこともあって喜びはひとしおです。また、長らく南部校が王座を独占してきた歴史に終止符を打ったという意味でも非常に価値がある偉業と言えます。

前回1997年は半世紀ぶりの王座でした。その時には古豪が完全復活して黄金時代を築くのかと大いに期待したものの、そうはなりませんでした。それどころか、待っていたのは棘の道だったのです。嫌な予感がしたのは、チームを王座に導いたロイド・カーの後任に、ウェストバージニア大からリッチ・ロドリゲスを招聘すると知った時です。ミシガン大にスプレッドオフェンス? 似合わないしハマるわけないと。その後の数年間は、まさに暗黒時代そのものでした。宿敵オハイオ州大とともにビッグ・ツーと呼ばれた昔日の面影は消え失せ、ビッグ10カンファレンス内ですら中団に埋もれる有様。ボウル・ゲームにも、まるで昔の名前で出ているかのような体たらくでした。そんな時に就任したのが現ヘッドコーチ、ジム・ハーボ―なのです。

ミシガン大の花形QBだった彼が母校の指揮をとる時代が、いずれ必ず訪れるとは予想していましたが、正直ビックリしました。低迷を続けていたサンフランシスコ・フォーティーナイナーズを一気に立て直し、早くも2年目にはスーパーボウルに導いた手腕は高く評価されており、引く手あまたの彼が母校に戻るのはスーパーボウルを制覇してからだろうと考えていたからです。それでも、このニュースは私を狂喜させました。彼のもとチームは伝統のパワーフットボールに回帰し、V字回復を果たすだろうと。大学関係者やファンも同じように考えていたことは間違いありません。つまりミシガン大にとっては切り札と言える存在だったわけです。

ハーボ―の指導力と情熱はチームを劇的に変え、一気にオハイオ州大に迫る強豪に復活しますが、そこからが長かった… 直接対決では歯が立たないシーズンが続いた時期には「ハーボ―でもダメなのか?」と途方に暮れもしましたが、7年目にしてようやく撃破して初のカレッジフットボール・プレーオフ進出を果たしたのです。その後2年連続で南部校の厚い壁に阻まれた後の今季ですからね。足掛け10年での悲願達成です。

ハーボ―のチーム作りが「パワーフットボール」に基軸を置いていることは明らかで、それに則ったリクルーティングに精力を注いでいることは、攻守に全米屈指のラインを構成していることに表れています。もちろん70年代のように地道なラン攻撃でゴリゴリ押しまくるわけではなく、上手くトレンドを取り入れながらも根底にあるのはパワーとフィジカルの重視です。伝統的スタイルに新たなスパイスを絶妙に加味した攻撃は、かつてIフォーメーションからのトリプルオプションが主流だった中西部のパワーオフェンスを見事に進化させたものと思います。これから新たな黄金時代が始まるか? との期待も高まりますが、流動的なんですよね。次回はそのあたりを考察してみます。

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