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『ゴッドファーザー』

2022年5月30日

映画『ゴッドファーザー』久しぶりに見ました。何十回目かわからないほどですが、何度見てもいいですね。脚本、演出、キャスティング、映像、音楽全て秀逸です。古き良きアメリカの繫栄に隠された負の部分を暴いたこの作品は、公開直後から大きな反響を呼び、今でも優れた映画のランキングで必ず上位に挙げられます。

かつては世界のどこでも反社会的勢力が必要悪と見做されていました。日本でも各界との癒着が蔓延っていたのは周知の事実です。今や暴力団の資金源は麻薬や詐欺といったものに様変わりしてしまい、その存在意義は最早ないといっていいでしょう。マフィアも同様で勢力は縮小の一途を辿っているようですが、社会に適合できない人間の受け皿は形を変えて今後も存続するはずです。

ドン、ヴィト・コルレオーネを演じるマーロン・ブランドも勿論素晴らしいですが、私が最も好きなのはジェイムス・カーン演じる「ソニー」ことサンティノ・コルレオーネです。原作も読みましたが、これほどの当たり役は史上屈指でしょうね。ソニーという人物を完璧に体現しています。原作に出てくる「茶色い縮れ毛にキューピッドのような顔」はカーンそのものですし。ロバート・デ・ニーロがソニー役のオーディションを受けて落ちたのは有名ですが、さすがのデ・ニーロもこの役に限っては完敗でしょう。

実際のキャスティングはすんなりとはいかず、紆余曲折があったようです。ソニー役も当初は『ゴッドファーザーPARTII』でロサトを演じるカーマイン・カリディが候補でしたし、マイケル役がなかなか決まらないためにカーンをマイケル役にスライドさせる案もあったそうですが、結果的にはベストなキャスティングが完成したと。まさに結果オーライです。
他にもヴィト役にはローレンス・オリヴィエーやアーネスト・ボーグナイン、マイケル役にはロバート・レッドフォードやライアン・オニールにもオファーがあったようですが、やはり超えるには至らなかった気がします。

映画でのソニーは短気で思慮が足りず、ドンに相応しい器ではないイメージが増幅されていますが、原作では暗黒街きっての殺し屋であるのみならず市街戦の指揮官としても天才的であり、聡明さも持ち合わせていてドンの後継者と自他共に認める存在とされています。ただ短気が命取りになったのは変わりませんが…

カーンは一気にスターダムに上りましたが、この役での印象が余りにも強烈でその後伸び悩んだ感があります。ミシガン州大ではアメリカンフットボールで鳴らし、ロデオを愛するタフガイですが、身長は180cmとソニーのイメージほど大柄ではないのが禍したのでしょうか? 80年代に入るとめっきり出演作が減って心配していましたが、『ミザリー』で復活したときは嬉しかったです。

それから『ゴッドファーザーPARTIII』でアンディー・ガルシアがソニーの息子ヴィンセント役で出演しましたよね。カーンとガルシア、顔は全然似ていない。なのにキレるとそっくりになるんですよ。口の歪め方といい、眉がハの字になるところといい本当にそっくり。実の親子や兄弟でも顔は似てないのに、ふとした表情や仕草から血の繋がりを感じる時がありますが、それを彷彿とさせるのです。そんなわけでガルシアの起用も大正解だと思っています。

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Posted by hiro