ルースの敵は彼自身
昨シーズン大谷翔平選手の大活躍で、彼とベイブ・ルースを比較する記事が紙上を賑わせました。時代が違いすぎて単純に比べられないのは言うまでもないことです。仮に現代の選手をタイムマシンに乗せて100年前に運んだら、軒並みレギュラーの座を奪ってしまうでしょうね。黒人選手でさえプレーできなかった時代ですから、裾野が広がった現代のほうが競争も激しく、科学に基づいたトレーニング法が常識になっている選手の体格や身体能力の高さは100年前の比ではないでしょう。それに変化球も今ほど多彩ではないので、ルースも目を白黒させるでしょうね。投球・打撃とも圧倒するはずです。
ただ、守備はそう簡単ではないでしょう。グラブは非常に粗末なものですからポケットでキャッチするというわけにはいかず、掌で掴み取るつもりでないと捕球できません。当然守備範囲は狭くなり、補うためにはフットワークが必要になります。往年の名手に近づくのは結構大変かもしれません。
より公平に比較するには条件付けが必要でしょう。つまりルースが100年遅く生まれていたらどうかということです。彼は巨体で有名でしたが188cm98kgですから、現代なら野球選手としては平均より大きい程度ですね。ただ、現代の生活環境で育っていたら、もっと大きくて然るべきなのは当然です。野球に打ち込んでいたならトレーニングもそれなりにはこなしていたとするならば、196cm110kgクラスでおかしくないです。ちょうどジャンカルロ・スタントンくらいということですね。しかもルースの長打力、打球を遠くへ飛ばす力の破格さは各種指標が証明する通りのもので、疑いなく桁外れです。何しろ本塁打王に輝いたほとんどの年で2位に倍以上の本数で、3倍近くのシーズンさえあります。本塁打で彼と張り合えるのは後輩のルー・ゲーリッグ登場まで皆無だったのですから… その才能はいつの時代に生まれても、不世出のホームランバッター足りえたと思います。
では投手としてはどうか? これは大谷選手に軍配を上げたいです。個人的に投手は野手以上に節制と健康管理が求められると考えていますし故障のリスクも大きいです。もしルースが投手に専念していても、殿堂入りに値するくらいの成績を残した可能性はあります。彼の低い奪三振率をもって速球投手ではなかったとする意見を目にしたことがありますが、それはあくまでも現代と比較してのことです。今ほど変化球がなく、打撃も単打狙いのチョップヒッティングが主流でしたから当然のこと。彼の生涯奪三振率は3.6ですが、23勝をあげて防御率のタイトルを取った1916年は4.7です。これは当時を代表する剛速球投手ウォルター・ジョンソンの生涯奪三振率5.3、ルースの打者転向後に登場した戦前を代表する速球左腕レフティー・グローヴの5.2と遜色有りません。また彼は『Bleacher Report』が選んだ「野球史上で最高の肩の持ち主である外野手トップ40」で15位にランクされるほどの強肩です。速くないわけがないでしょう。しかし、もしルースが投手に拘っていたら、歴史に名を残すことはなかったかもしれません。
今プレーしていたとしても、間違いなく大谷選手より多くの本塁打を放っていたと思われるルースですが、唯一の懸念はその性格でしょうね。破天荒で遊び好きのうえ練習嫌い。スターダムに上がったまでは順風満帆でも、その結果として避けられない数々の誘惑に抗えずに有り余る才能を十分生かせなかった例は多々あります。ドワイト・グッデンが典型ですね。それにさえ打ち克つことができれば、ルースはいつの時代に生まれても不世出のホームランバッターに成り得た、またそれが当然だったと思います。
では大谷選手が100年早く生まれていたらどうか? これはお話になりません。アメリカでプレーする機会などあろうはずもないです。体格を生かして柔道か相撲にでも進んでいたでしょうか? 彼の場合はルースと違う意味での時代が生んだ申し子と言えるのかもしれません。
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