長身瘦躯の徳川家康
12月5日は滝田栄さんの誕生日です。好きな俳優でしたが見かけなくなって久しいです。その多才ぶりが彼を一俳優の枠に留めることを許さなかったのでしょうね。近年は仏像彫刻に熱心なようです。
俳優としての代表作は1983年の大河ドラマ『徳川家康』での主演ですが、従前のイメージと全く異なる長身瘦躯の家康には当初違和感を覚えたものです。しかも2年前の大河ドラマ『おんな太閤記』で前田利家を演じており、これが見事なまでにハマっていたことも影響していました。義に篤い人格者である一方、剛毅な利家像は正に「槍の又左」そのものであり、歴代最高の利家と思えるほどでした。特に西田敏行さん演じる豊臣秀吉が天下人になって以降も身を賭して諫言する場面がいくつかあり、その際「これ藤吉郎、~して何とする!」と同輩だった昔の口調で歯に衣着せず直言するのが印象的でした。世間一般のイメージでは容姿・性格とも利家とは対極に位置する家康ですから、どんな家康になるのか解らず不安を感じたのは私だけではなかったでしょう。寧ろ織田信長役にうってつけではないかと思っていました。
しかし竹千代が成人して「滝田家康」が登場すると、そんな不安が消し飛ぶのに大した時間はかかりませんでした。やはり実力者ですから、見事に新たな家康像を現出させてくれたのです。もちろん脚本や演出の素晴らしさが相まってのことであるのは言うまでもありませんが、キャスティングの妙は他にもありました。私が大好きな役所広司さんが織田信長役で鮮烈に登場したことです。
「役所信長」が初めて登場した回、いつものように母と一緒に見ていました。見るからに豪放磊落な信長が颯爽と現れると、二人とも釘付けになったのです。ルックスだけでなく、あの声にも痺れましたね。登場シーンが終わるや否や顔を見合わせ、一言一句違わず同時に発した言葉が「この信長イイねえ!」だったのをハッキリ覚えています。本当に衝撃的でした。以来二人とも役所ファンです。
この時代の大河ドラマは重厚で見応えがあり名作揃いですが『徳川家康』は個人的に歴代トップ3には間違いなく入れます。その要因として二人の熱演があるのは言うまでもないことです。
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