ザ・ベスト・オブ・ミフネ
12月24日は三船敏郎さんの命日です。彼が世界で最も名の知られた日本人俳優であることは疑う余地がないです。映画『戦場にかける橋』で有名な早川雪洲さんは、サイレント映画時代を代表するハリウッドのドル箱スターであり「マチネー・アイドル」として女性に圧倒的な人気を誇っていたようですが、あまりにも昔ですから現存する作品は限られ実感はできませんしね。
どの作品を見ても感じるのは、その圧倒的な存在感です。鋭い眼光を宿した野性味溢れる風貌、低くてドスの効いた声、スピーディーで迫力満点の殺陣と豪放磊落なキャラクターを演じさせると無人の野を行くが如くです。いっぽう静の演技でも、この人が登場するだけで気が引き締まるようなオーラを感じます。今日は数ある三船さんの出演作から私のお気に入りを選んでみます。
1 『椿三十郎』 1962年東宝・黒澤プロ 監督黒澤明
2 『日本のいちばん長い日』 1967年東宝 監督岡本喜八
3 『七人の侍』 1954年東宝 監督黒澤明
4 『羅生門』 1950年大映 監督黒澤明
5 『大忠臣蔵』 1971年NET
6 『蜘蛛巣城』 1957年東宝 監督黒澤明
7 『連合艦隊司令長官 山本五十六』 1968年東宝 監督丸山誠治
8 『赤ひげ』 1965年東宝・黒澤プロ 監督黒澤明
9 『千利休 本覺坊遺文』 1989年西友 監督熊井啓
10 『新選組』 1969年三船プロ 監督沢島忠
『椿三十郎』は『用心棒』の続編として制作されたことが知られています。『用心棒』は海外での評価が非常に高いですが、私には設定や演出が荒唐無稽に思えて好きではありません。『椿三十郎』のほうが、実際に似たような事件がいくつもあったのでは思わせるストーリーで戸惑いなく引き込まれていきます。また、ここでの殺陣シーンは数ある三船さんのパフォーマンスでも屈指のものでしょう。目にも止まらぬ「30人斬り」の迫力は凄まじく、リアリティーを追求した斬撃音が殺伐さを助長して非常に効果的です。
ただ実在の人物を演じると、ほぼ例外なくその面貌と圧倒的な存在感が相まって文献から想像できる各人物像よりも寡黙で剛毅なキャラクターになりますね。それでも違和感を全く感じさせないのはさすがです。
上記の作品をリメイクした場合、全てで三船さんの代役が務まる俳優は誰かとなると私としては役所広司さんしか思い浮かびません。どの役でもハマりますよね。実際に阿南惟幾・山本五十六を演じてますし、上記以外でも徳川家康と宮本武蔵が被っています。役所さんも老成期に入っていますが、是非ともハリウッドの大作に出演して三船さんに劣らぬ世界的名声を得てほしいと願っています。
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