9.11の衝撃
私がこれまでに最も衝撃を受けたのは、いわゆる9.11「アメリカ同時多発テロ事件」です。
3.11は確かに私が初めて命の危険を感じた揺れでした。とはいえ日本に住んでいる以上、いずれどこかが大きな地震に見舞われることは必然で、それは日本人なら誰でも認識していたことと思います(津波被害の大きさは想像を絶するものでしたが)それに比べてこのテロは、まさに「あり得ないこと」が起きてしまったという感覚なのです。
この日私は遅くまで残業し、帰宅してすぐパソコンを立ち上げるとトップページにこの事件の速報が載っているのを目にしました。私は瞬時に本当なら事故ではないと思いました。旅客機がワールドトレードセンターに突っ込むなんて、そこがターゲットだったとしか考えられないと。一方でこれは今でいうフェイクニュースではないかとの疑問が湧きました。そこで「そうだテレビをつけよう、真偽のほどがわかる」と思い至ったのですが、噓であってほしいという希望は瞬く間に崩れ去ったのです。
自爆テロはすでに珍しいものではなかったですが、ハイジャックした旅客機ごと多数の民間人を道連れに大都市の中枢に「特攻」するなど私にとっては全く想定外の出来事でした。もちろんこの時点では事件の詳細は分からず情報が錯綜していたのでその後はテレビに釘付けになり、一睡もしないで出社する羽目になりました。
この事件に関しては多数のドキュメンタリー番組が作られそのほとんどを見ましたが、特に忘れられないことがあります。一機目が突入する瞬間をとらえたフランスのカメラマン兄弟が消防署長に同行し、ワールドトレードセンター1Fロビーに指揮所を構える様子を撮影しているのですが、時折ビル外から「パーンッ!パーンッ!」と何かが破裂するような音が聞こえてくるのです。それは苦痛に耐えきれずにビルから飛び降りた犠牲者が、地面に叩きつけられる音だったのです…本当に胸に突き刺さるような音でした。
現場に駆けつけた警察官が次々に飛び降りる犠牲者達を見上げながら、目に涙を湛えて「shit!!」と吐き捨てるシーンも心に残ります。助けることができない無力感がひしひしと伝わり、こちらも涙が出てしまいます。
他にも初動で到着した消防士達の悲壮な表情。高層タワービルでの消火活動の困難さは映画『タワーリングインフェルノ』で見ていますが、やはりリアルの現場から伝わってくるものは違います。いったい彼らのうち何人が生きて帰れたのかと思うと心が痛みます。
私の職場にはアルバイトの学生が入れ代わり立ち代わりやってきます。警察官や消防士になりますという子も何人かいました。「頑張れよ」と笑顔で送り出すしかないのですが、その度にあの日の彼らの姿が脳裏をよぎってしまうのです。他人を救うために自分が命を落とすリスクを承知で志望しているのでしょうから、尊敬すべきことですよね。無事でいることを願うばかりです。
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