史上最高のクォーターバック
8月3日はトム・ブレイディ―の誕生日です。もはや彼を史上最高のQBとする意見に異論を挟む余地はないでしょう。正直なところ彼がニューイングランド・ペイトリオッツ一筋で現役を終えていたら異議を唱えていたと思います。疑いなく素晴らしいQBではあるものの、その偉業はペイトリオッツにいたからであって彼にしか成し得ないものとは思えない、よって史上最高とするのはどんなものか？ という意味です。しかし移籍初年度にタンパベイ・バッカニアーズをチャンピオンに導いた手腕を見るに及んで考えが変わりました。これは彼の登場以前史上最高とされたジョー・モンタナにも出来なかったことです。
あのシーズン、スーパーボウルまで進出したこと自体奇跡的なことでした。チーム力は明らかにカンザスシティー・チーフスが上、ブレイディ―ならやってくれるかもという期待はありつつも内心無理だろうと考えていたので本当に驚きましたね。理屈抜きに彼が神に選ばれた人間なのだと思い知りました。
面白いのはブレイディ―もモンタナもトッププロスペクトではなかったことですね。過去スーパーボウルを制したQBを見ると、やはり1巡指名の選手が多数を占めていますが史上トップ2とされる二人がそうではないのですから… 綿密なスカウティングを行った結果高順位で指名しても鳴かず飛ばずで終わってしまう例はポジション問わず枚挙に暇がありませんが、遥かに低い確率でもこういう事が起きるのです。
サンフランシスコ・フォーティーナイナーズの3巡指名までモンタナが残っていたことでビル・ウォルシュは内心ほくそ笑んだことでしょうが、ペイトリオッツも同様だったはず。しかも6巡ですからね。偶然といえば偶然ですが、他チームが全く興味を示さなかったことを考えると必然の成り行きだったとも言えます。ブレイディ―に秘められた可能性を例え僅かでも見い出していたのですから、スカウティングの勝利ですね。史上最高の掘り出し物とされるのも納得です。
個人的には彼がポケット内でターゲットを探す時の挙動が好きなんですよね。ステップしながら体を上下に小刻みに動かすあれです。1970年代と比べて早いタイミングで投げることが圧倒的に多くなった現代では、とんと見られなくなった動きで、クラシックなポケットパサーが好きな私としてはノスタルジーを感じてしまいます。佇まいはジョー・ネイマスが似ていたかなあ…
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