恐るべし中国の悪女
前回の記事でマリー・アントワネットを悪女とは思わないと書きました。どの国でも宮廷内の勢力争いは日常の光景であり、奢侈も程度の問題で彼女の場合常軌を逸していたとは言えないと。手練手管を弄して権力者の寵を得ようとするのも、権謀術数を駆使してライバルを蹴落とそうとするのも男女問わず当然といえば当然です。結果的にその権力者が道を誤ることがあればそれは自身の責任でもあるわけで、私の基準で言えばクレオパトラも楊貴妃も悪女ではないのです。
歴史に残る悪女と呼ばれるのに必要なのは、飽くなき権力欲と私欲に加えて残虐性ですね。後宮での勢力争いの範疇を出なければ、具体的な事実が明るみに出るものではないのでまさしく暗闘ですが、政治の表舞台に立つと史実として残ります。残虐性という点では中国が他の追随を許さないものがあります。
ダントツなのは漢の高祖(劉邦)の皇后呂雉でしょう。最も有名な人豚の一件(戚夫人の手足を切断、目・耳・声を潰して豚の代わりに便所に置いた)だけでも史上最悪に挙げてよいほどですが、自分と息子恵帝の地位を脅かしうる皇族や元勲を軒並み抹殺しています。残虐性では一頭地を抜いてますね。
続くのは毛沢東夫人の江青です。「文化大革命」を主導し数多の人物を無実の罪で死に追いやったのみならず、非常に嫉妬深い性格から映画・演劇関係者が多数犠牲になっています。これは女優として大成しなかったことの逆恨みでしかないです。「文化大革命」での膨大な死者数を考えると、間接的に殺した人数は呂雉以上かもしれません。
50年近くに渡って政治を壟断し多くの政敵を処刑した清の西太后もなかなかですが、西晋2代恵帝の皇后賈南風も捨て難いです。陰謀を巡らせて政敵を葬り去るという点ではナンバーワンかもしれません。嫉妬心と残虐さもピカ一で、身重の側室を胎児ごと手に掛けたりアバンチュールを楽しんだ若い男を事後に殺すことを繰り返したりと悪女の見本と思えるほどです。
やはり中国恐るべしといった感がありますが、お隣の朝鮮にも引けを取らない悪女がいます。李氏朝鮮26代高宗の妃である閔妃です。義父興宣大院君一派と血で血を洗う暗殺合戦を繰り広げ、魔術に傾倒して国庫の6倍以上を浪費、末期症状にあった王朝に自ら引導を渡す結果をもたらしました。
彼女たちに比べると日本は勿論のこと、西洋やオリエントの女性も可愛いものですね。私の職場にも一時期アルバイトの中国人女性がかなり来ていましたが、総じて気が強いという印象でした。歴史を鑑みると怖い国、と言うより怖い人たちと言ったほうが正しいかもしれません。
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