『ベイクド・ポテト・スーパー・ライブ!』
1982年にリリースされたグレッグ・マティーソン・プロジェクトの『ベイクド・ポテト・スーパー・ライブ!』は世間的に殆ど知られていません。当時ですら知っていたのは業界人と一部のコアなファンのみでしょうが、ロサンゼルスの老舗ジャズ・クラブ「ベイクド・ポテト」で収録されたこのライブ・アルバムは歴史的名演です。私がその存在を知ったのは、当時一緒に活動していたジェフ・ポーカロ・フリークのドラマーからでした。TOTOからギターのスティーヴ・ルカサーとドラムのポーカロ、キーボードにグレッグ・マティーソン、ベースはロバート・ポップウェルという錚々たる顔ぶれで、ダイナミックで臨場感溢れるサウンドは驚くべきことに一発録り! 演奏のクオリティーも非常に高いです。
恐らく彼らにとっては制約の多いスタジオでの仕事を離れてのギグですから、漲るパワーが解き放たれたかのようで圧倒されます。全編インストゥルメンタルということもあってルカサーの見せ場が充溢、縦横無尽に弾きまくっている感じです。ギターの音色はシャープでソリッド。グイグイ前へくる押し出しの強さは、明らかにEMG製ピックアップではないですね。トレモロ・アームを駆使していることから、時期的に言ってシェクターのストラトキャスターあたりかもしれません。
プレイは圧巻の一言! ハード・ロック調からジャジーなナンバーまで、まさに「ミスター・ヴァーサタイル」の本領を発揮していますが、ポーカロの複雑なリズムパターンが際立つ「ゴー」でのギターソロのように、ジャジーな雰囲気で始まってもクライマックスに入るとロックの香りに満ちてくるのは、やはりルカサーというギタリストの根底にあるのはロックなんだなと納得させられますし、そこが最大の魅力であるとも言えますね。
ギターソロの難易度は、どれをとっても非常に高く一筋縄ではいきません。個人的には前述の「ゴー」がいちばん大変かな? カッティングも難しいですし、リズムにしっかり乗ってグルーヴを出せるかという点も問題になります。
ここでのプレイにはルカサー奏法ほぼ全てが網羅されており、全て完コピ出来たらルカサーに成りきれること請け合いです。ただ凄いのは、こういったギグでのギターソロは殆どアドリブであろうと想像できることですよね。コピーバンドを組んでライブで再現はできても、アドリブでこれに匹敵する高クオリティーのギターソロを展開するのはプロでも容易ではないでしょう。私にはとてもそんな自信はなかったので、「ほぼ完コピ」にとどめましたが… コンポーズする能力はテクニック以上に重要なので、天才でもない限りコードとスケールの関係など所謂理論を知っておいて損はないです。引き出しが増えることは間違いないですから。
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