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「レッド・バロン」

2022年5月29日

今日4月21日は、第一次世界大戦のトップエース「レッド・バロン」ことマンフレート・フォン・リヒトホーフェンが戦死した日です。ジョン・フィリップ・ロー主演の映画『レッドバロン』を思い出します。『ブルーマックス』や『スカイエース』も良かったですね。

それに比べて2008年の『レッドバロン』は期待外れでした。近年の戦争映画の戦闘シーンはほとんどCGに頼っています。それは当然の帰結なんですが、かえってリアリティーがないんですよ。複葉機は低速且つ浮力が大きいので急激な姿勢変化は可能ですが、その割にスピード感がありすぎなんです。視覚効果を狙ってのダイナミックな演出なのでしょうが、かえってリアリティーを損ないます。より高速化した第二次世界大戦時のガンカメラを通した映像よりも速く感じるようでは違和感大ありです。この映画に限らず実際にはあり得ないような戦闘シーンの描写がされると興醒めします。『パールハーバー』なんか酷かったな…

リヒトホーフェンの最期については、地上からの銃撃によるものとの見方がほぼ確実視されています。遺体はフランスに埋葬されましたが終戦後返還され、ドイツで国葬が執り行われました。かつて戦った敵国のパイロット多数が参列したそうです。飛行機の誕生からまだ10余年、信頼性に乏しくいつどこでエンジンが止まるかわからないような代物で、戦闘中よりも事故死するパイロットのほうが多かった時代に死線をくぐり抜けてきたパイロットたちだからこそ、彼の偉業を敵味方問わず称賛したんでしょうね。彼に限らずドイツのトップエースたちは一目でそれとわかるほど派手な塗装を乗機に施していました。「わかってて来るなら来い!」と言わんばかり、中世騎士の馬上試合さながらです。まさに古き良き時代、ロマンに溢れています。

個人の活躍が表に出づらい陸海の戦闘と違って、個々の力量が撃墜スコアとなって表れるパイロットたちは故国でのスターであり、ブロマイドが飛ぶように売れたそうです。それになぜかイケメンが多いんですよね(特にドイツ)ヘルマン・ゲーリングなんて後年のナチス時代とは別人のようにカッコイイ。個人的にはヴェルナー・フォスが好きですね。最終的に57機を撃墜したイギリス空軍のエース、ジェイムス・マッカデンを含む6機編隊に怯むことなく単機で立ち向かい、見事な操縦技量を見せながらも堕とされました。自信とプライドが迸る行動ですよね。イギリスではアルバート・ボール、リヒトホーフェンの弟ロタールとの対決が彼の最期となりました。

騎士道精神が色濃く残るこの時代、相手の機銃が故障したのを見て取ると挨拶して見逃したという事例も多かったようです。ジョルジュ・ギンヌメールとエルンスト・ウーデットのエピソードが有名です。

私は現代のジェット戦闘機を操縦したいとは思いません。車も一緒ですが、コントロールすることにおける人間の役割が低下すればするほど扱いは容易にはなる反面、操る楽しみも失われて結果人間のスキルが下がっていく。そういうことだと思っています。もし50年早く生まれていたら、戦闘機乗りを目指したでしょう。大海原に不時着するのは嫌なので陸軍かな… もっとも適性検査をパスできるスキルがあったらの話ですけどね。

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近代

Posted by hiro